山田 消児 (やまだ しょうじ)

  昭和34年10月31日生
  昭和63年秋作歌を始める
  平成4年12月3日歌集『風見町通信』刊行
  平成11年12月3日歌集『アンドロイドK』刊行
  平成15年10月25日歌集『見えぬ声、聞こえぬ言葉』刊行
  静岡県在住


  E-Mail : umineko@st.rim.or.jp
  HomePage :
うみねこ短歌館(http://www.st.rim.or.jp/~umineko/)


<自選歌集>
   山猫紙しばい

 夜店にて買う金の斧暴かれし嘘ほんとうに近づけるため

 終電に靴ひだりだけ残る夜はその子の夢の王子になれる

 ピノキオは家族団欒に加われないとびだす絵本にとじ込められて

 勝ち組の兵ら王子のまねをしてわれがちに眠り姫にキスする
 
 に  せ
 似而非アリスは鏡の国では生きられないどこの誰にも似ていないから

 少女とは限らぬながらマッチ売り毎年ひとり死ぬクリスマス

 標なき国の都会の森ふかく、グレーテルだけもう食べられた

 一匹の獣となりて潜みおり今宵ふるやのもりに怯えて

 それは遠い国の昔の童話だから怖がらなくてもいいんだ誰も

 一斉に玩具箱から脱け出して、らったったった 朝の僕らは


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